
回風太極図は、陰陽が調和する太極に、中心点と回転運動が加わった図柄です。
有名な精神医学者ユングが、太極拳を伝承してきた組織の一派が残した「経典(太乙金華宗旨)」を元に、『黄金の華の秘密』を出版し、世界的なベストセラーとなりました。
その経典には、仙人の呂洞賓による動きが中心点と回転運動であることが説明され、それが、人間の根本的な無為自然の運動である秘密が記され、ユングはこれに大変感銘して出版することになりました。
この、中心点と回転運動は太極拳に於いては『回風』と呼ばれます。この図柄を著作した若林政樹は、この太極拳を中国の古き武当山(現在の武当山ではありません)の師範から受け継ぎ、その受け継いだ経験を基に、その回風を表現したのが、この「回風太極図」です。陰陽太極という中国古代の理論に、この武道としての回風を融合させ、その精神と動きをこの図柄に於いて表現しました。この図柄には、太極図を超えた多くの概念が含まれ、折畳や鼓蕩という太極拳独特の勢や、隠地、早服、攀斗、蔵天などの術の理念が含まれています。
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武当派の太極拳は、人々の長寿と健康を達成するために、あらゆる面から経験と実践で研究し尽くされた修養法です。
古くはインドの印法、中国の漢方医学の流れを、武道の気と息と動きとに融合させた,理想的な健康法です。

美しい身体は、体の中心部で作られます。外側の余分な脂肪や筋肉は,内部の筋肉や生理バランスに消費されます。太極拳はインナーマッスルで動く武道ですから、美しい体を作るには最適な運動です。

心 太極拳は、副交感神経を使う動きを中心に、自律神経を整えていきます。穏やかな心と、凛とした精神が、太極拳の動きの中で培われていきます。

太極拳は知らず知らずのうちに、人間が本来持っている防衛能力を思い出す武道です。王の楊式太極拳では、静かで緩やかな套路の中にも、これらを思い出すための動きを古式太極拳から失わずに伝承しています。

太極拳は、最も自然な動きを重視します。自然な動きとは気持ちよくて楽しい動きです。人間の心身はそのようにできているからです。それらを知り尽くした太極拳の動きは、気持ちよくて楽しいとはどういうことなのかを思い出させてくれます。

武当派太極拳は、無為自然にありのままに生きる道を示します。従って武当派では太極拳を武術とは呼びません、武道と呼びます。ここが武当派の大きな特徴です。